8月の薬草(No21-40)

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お断りします。もし間違っていたらご指摘下さい。

No 薬草名 薬効用い方 採取時期と調整法・成分
21 ニチニチソウ(にちにちそう)

薬効と用い方:

胃カイヨウ・便通・消化促進:
1回に生の葉3〜5枚をすりつぶし、水を加えてガーゼでこして飲む.、
アルカ□イドを含むので、量をふやさないこと。
採取時期と調整法・成分:

成分;アルカロイドの結晶、ヴィンカリューコブラスチンには腫瘍抑制作用があり、ほかにタンニンも含む。
22 ハマスゲ(はますげ、香附子)
漢方では香附子(こうぶし)とは、カヤツリグサ科ハマスゲの根茎のことを言います。
薬効と用い方:
香附子単味では用いないで、次の漢方処方に加えて用いる。

かぜの初期:
胃腸がふだんから虚弱で神経質の人に特に効果がある。香蘇散(香附子4g、蘇葉2g、陳皮2g、甘草1.5g、 生姜3g。以上1日量)を水400tに入れて、半量になるまで煎じて、1日3回に分けて服用。服用のたびごとに熟くあたため て飲むこと。蘇葉はシソの葉、陳皮はミカンの皮を乾燥したもの。生姜は野菜のショウガでよい。甘草のみを薬局で求めれば材料が手軽にそろう。ときにはこれにネギの白い部分をショウガと 同量小刻みにして加えてもよい。
採取時期と調整法・成分
地下部の根茎を10〜11月ごろに採取し、日光 で半乾燥してから、ひげ根をとり除き、とり残しのひげ根は金網にのせて、火にかざして焼きとり、さらに陰干しにする。

成分:
精油分約1%を含み、シペレン、シペロールのほか、脂肪油なども含んでいる。
23 ハトムギ(はとむぎ、ヨクイニン)
ヨクイニンは昔からいぼや肌荒れに使われてきた、ハトムギのエキスを抽出したものです。水分のめぐりを良くし、水毒体質の改善をはかり、排膿の働きがある生薬です。皮膚のあれ、いぼ
薬効と用い方:

イボとりと美肌:ヨクイニン10〜30gを1日量として煎じ、お茶がわりに飲む。

高血圧:ヨクイニン10g、十薬20〜30gを煎じてお茶がわりに。
以上の2種は効きめの確かな民間療法です。
採取時期と調整法・成分:

調整法:4月上〜下旬に、30o間隔で3粒ずつ種子をまき、2pぐらいの厚さに土をかぶせる。1〜2週間で発芽。麦と同じように肥料を与える。9〜10月ごろに刈りとって、殻を手でむいてから、日干しにする。

成分:デンプン、タンパク質、脂肪油がある。ほかに腫瘍抑制作用のあるコイクセノリドも含んでいる。

24 ヘチマ(へちま)

薬効と用い方:

化粧水:へちま水100 tに対して、ホウ砂0.5gの割で合わせ、よく振ってとかしてから用 いる。

たん・咳・利尿:
生の果実を輪切りにして、そのまま煮てできた汁を飲むとよい。
採取時期と調整法・成分:
へちま水:秋になって地上30pぐらいの所から、つるを切り、下のほうの切り口をびんにさし込んでおくと、へちま水がとれる。少々青くさい感じであるが、化粧に、洗濯にと用い られていたし、飲めばせき止めや、むくみのときの利尿薬にもな った。

果実の使い方:
ぶらりとぶら下がっている果実は、若いうちは苦みがないので食用になる。皮をむいて揚げ物や汁の実に。また、漬け物にしたり、皮をむいて日光に干して「干し瓜」にしてから、保存食品として冬の間の汁の実などに使われていた。 秋おそく長い果実をさらして繊維だけにしてへちまダワシを作る。
つぽみの使い方:
つぼみをがくごととって天ぷらにすると。また、若葉も同じようにして食べられる。
成分:へちま水にはサポニン、硝酸カリウムがあるので、せきにはサポニンが、利尿には硝酸カリウムが効果をあらわす。化粧水として肌をうるおすのは、両方の作用であろう。
25 ジャノヒゲ(じゃのひげ)/麦門冬(バクモンドウ)
漢方ではユリ科.のジャノヒゲの根を乾燥させたもの麦門冬(バクモンドウ)という。
薬効と用い方:

滋養.強壮、咳止め
ステロイド配糖体のオヒオポコニンや、粘液質を含む。
採取時期と調整法・成分
7〜8月ころ根を掘り、ふくらんだ部分(貯蔵根)だけを用いる.。水洗いして日干しにする。
滋養.強壮;
乾燥した根(麦門冬)5〜10gに蜂蜜5〜10gを加えて煎じて服用する。
咳止め:
麦門冬10g、半夏、糠米(こうべい;うるち米のこと)各5g、人参、甘草各2g、大棗3gをまぜ合わせ、煎じて服用するとよ い。
26 カラスウリ(からすうり)王瓜根(根)、王瓜子(種子)


薬効と用い方:

しもやけ:果汁、果肉を患部に塗る。

黄疸・利尿:乾燥した根(王瓜根)6〜10g1日量として水200tで煎じて、1日3回、食前に服用する。

催乳:母乳の出をよくするためには、乾燥した種子(王瓜子)を1回に1〜3g、水200tで半量に煎じ、食後30分に服用する。

採取時期と調整法・成分:

調整法:
果実はよく熟したものの果汁、果肉を用いる。種子は熟した果実を水の中で砕いてとり出し、日干しにする。
根はさつまいものようなものなので、水洗いしてから、乾燥を早めるために輪切りにして、日干しにする。


27 クリ(くり)

薬効と用い方:

うるしかぷれ:よく乾燥した葉を一握りとり、水500 ccで煮てこの汁が冷めてからこれで患部を洗う。
乾燥葉がないときは、樹皮でもよいし、いがを用いてもよい。いがならば2個分ぐらい。また樹皮ならば、いがの1/2量ぐらいでよい。

やけど:上と同じ分量、方法で煎じた汁を、脱脂綿に含ませて、患部にその汁をしぽり落とすようにして塗る。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:
樹皮といがは、秋に採取し、風通しのよい所で日干しにする。葉は成分の充実している真夏にとって、日干しにする。

成分:葉、いが、樹皮ともに多量のタンニンを含む。
28 ムラサキツメクサ(むらさきつめくさ)

薬効と用い方:

薬効と用い方
去痰・かぜ・鎮静・おできや痛風:
1日量5〜10gを水300 tで1/3量に煎じ、数回に分けて服用する。これはヨーロッパでおこなわれている民間療法である。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:開花前のつぼみを採取。花は先端に集合し、球状の穂をなしているので、花穂のままをとって、日干しにする。

成分:タンニン、樹脂、脂肪、フラボノールのクエルセチンなどを含んでいる。
29 オクラ(おくら)

薬効と用い方:

高血糖抑制作用: おくらのヌルヌルした成分が腸内で糖質を包み込んで吸収を押さえ血糖値の急激な上昇を阻止する。

整腸作用・便秘解消:ヌルヌル成分に含まれるペクチンには整腸作用があり、便秘の解消に効果がある。
採取時期と調整法・成分:

成分:各種ビタミン、ミネラル、多糖類(ムチン、ペクチン、ガラクタンなど
30 オオバコ(おおばこ、車前草、車前子)
薬効と用い方:

せき止め:
乾燥した種子(車前子)1日量 5〜10gに水200 tを加えて1/2量に煎じ、食後に服用する。

むくみのときの利尿:
乾燥した全草(車前草)1日量5〜10g に水300 tを加えて1/2量に煎じて、食後3回に服用。

はれもの:生の葉を水洗いし火にあぶってやわらかくなったものを、患部にはって、上からガーゼで押さえる。
採取時期と調整法・成分:

調整法:全草は夏に採取して、水洗いしてから日干しにする。種子は秋に。水けに当てないように注意して集め、日干しにする。

成分:全草にアウクビン、プランタギニン、ホモプランタギニンなどを含み、種子には粘液質のプランタザン、またアウクビン、コリンも含まれている。アウクビンには鎮咳効果がある。
31 ツユクサ(つゆくさ)

薬効と用い方:
解熱:
乾燥した全草1回量4〜6gを、200 tの水で煎じて、服用する。熱が下がらな いときには、1日3回を限度にしてこれを繰り返すとよい。

下痢止め:
乾燥した全草10〜15gを1日量として、400 tの水で煎じて、1日3回に服用する。
採取時期と調整法・成分:
ツユクサは染料植物として天平のころから利用された。あとになってから、花が3pに近いオオボウシバナの変種などが発見され、近江の国で青花紙が作られ、京都の友禅染の下絵を描くのに用いられた。ツユクサの花の色素は白い布地に青色に描かれるが、水に浸すと脱色する。この性質を利用して、青花紙に使われたのである。 現在では滋賀県草津市近郊で栽培されている。

成分:花の色素は、アントシャンのデルフィニジン、粘液質、フラボノイドのアオバニンなどを含んでいる。
調整法:開花期に全草をとり、水洗いして日干しにする。
32 ヤブガラシ(やぶがらし)

薬効と用い方:

はれものや、毒虫に刺されたとき:生の根茎を突き砕いて、出てくる粘液を患部に塗りっける。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:
生の根茎を使用するので、必要なときに採取してよいが、適期は7〜8月ごろ。根茎は地下15〜20pぐらいのところで横に伸びているので、スコップを使わなければ掘りにくい。掘りとった根茎は、タワシでよく水洗いすること。

成分:カリウム塩に、粘液質を含むので、利尿の効果もある。
33 イタドリ(いたどり、虎杖)



薬効と用い方:
便秘:
干したもの(虎杖)1日量8〜10g を、400tの水で半量になるまで煎じて、空腹時に3回に分けて服用するとよい。
蕁麻疹:
体がかゆくなって、かくと出血するものを、江戸時代には気奔(きほん)と呼んでいた。「和漢三才図会」では、気奔について、次の処方をあげている。
虎杖、人参、細辛、食塩各1.3gを 1日量にして、煎じて服用すると治るとしている。
採取時期と調整法・成分:
根茎を掘りとる時期はいつでもよいが秋から冬にかけて、地上の茎葉が枯れたころが最もよい。掘りとった 根茎は水洗いし、生のまま小さく切って、風通しのよい所で日千 しにする。

成分:
オキシアントラキノン類のポリゴニンを含み、加水分解するとエモジンやエモジンメチルエーテルになる。
34 イグサ(いぐさ、イ草)
イグサ科JuncaceaeのイJuncus effusus L var decipiens Buchの茎髄または全草を漢方で灯心草(とうしんそう)と呼ぶ。
薬効と用い方:

利尿:刻んだものを1回量5〜10g、水300 tで半量に煎じて服用する。

★江戸時代のわが国の本草書に、淋症(淋病)には腐れたゴザを煮て服すとあるが、いずれも李時珍の「本草綱目」からの引用であり、わが国と中国ではゴザの材料が異なるので、これをそのまま用いることはすすめられない。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:秋に地上部を刈りとり、水洗して乾燥する。

成分:キシラン、アラバン、メチルペントザンなどの多糖類が知られている。
35 アスパラガス(あすぱらがす)
薬効と用い方:

発がん抑制作用、動脈硬化予防、糖尿病予防
採取時期と調整法・成分:

先端にはルチンが豊富です。ビタミンPをルチンと言います。そば、アスパラガス、トマトなどに多い成分です。
また、アスパラガスが名前の由来であるアスパラギン酸も多く含みます。
カロチン・ビタミンC・ビタミンE、葉酸、食物繊維を含み、特に根本にはプロトディオシンが豊富です
36 タラノキ(たらのき)
薬効と用い方:

糖尿病:樹皮、連銭草、枇杷葉各5g、いずれもよく乾燥したものを、水400tで約半量になるまで煎じて1日量とし、3回に服用する。これにフジバカマの全草を干したもの5gを加えても よい。この民間療法は古くくからあり、副作用がないのでよい。 ★料理に「本草綱目啓蒙」に「春月幹上に若芽を出す。形フキノ トウの如し。ゆでて味噌あえにして食う。味ウドノメに似たり。 故にこれをウドメともウドモドキとも言う」とある。若芽が6p ほど伸びたものを、天ぶら、ゆがいておひたし、ごまあえに。刻 んでタラ飯もよい。タラノメでんがくは山で働く人たちが、たき火で焼いて、みそをつけて食べたもの。天ぷらが一番、甘煮が最高など味覚は人さまざまだが、春の山菜の王者である。
採取時期と調整法・成分:

調整法:幹皮、根皮を秋に採取し、刻んで日干しにする。

成分:根皮成分はオレアノール酸、べータージトステロールなどが知られ、ヘデラゲニン(サポニンとして)が報告されている。
37 タンポポ(たんぽぽ)


薬効と用い方:

健胃:
乾燥した根 5〜10gをー日量と して、200ccの水で煎じて服用。胃痛、消化促進によい。
乳房のはれ:
根5g、スイカズラの花 の乾燥花(金銀花)5gをまぜ200tの水で煎じて飲む。単独では効果はない。
採取時期と調整法・成分
開花寸前に根を採取して洗 い、刻んで日干しにする。
38 カボチャ(かぼちゃ)
薬効と用い方:

条虫駆除:種子の粉末1回10〜15gを、空腹時にそのまま服用する。

おでき:へたの粉末をゴマ柚で軟膏状にねってつける。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:秋、へたは日干しにして粉末に(南瓜蒂)、種子は皮を除いて水洗いし、日干し後粉末にする(南瓜仁)。

成分:脂肪油40%を含み、リノール酸、パルミチン酸、その他、ビタミンC、ビタミンB1、ククルビチンなど。
39 トウガラシ(とうがらし)
薬効と用い方:

皮膚刺激薬として神経痛:
トウガラシを刻 み、その全量の約4倍の45度ホワイトリカー 布でこしてトウガラシを加え、20〜30日ほど冷暗所においたのち、布でこしてトウガラシチンキを作り、痛む部分に塗る。

健胃:上記チンキをコップー杯に数滴注いで、食前に服用。
採取時期と調整法・成分:

調整法:
秋にとるが、薬にするのに特別の方法はない。

成分:辛みの成分としてカプサイシン。果皮の色素はカロチノイ ドのカプサンチンがある。
40 トウモロコシ(とうもろこし、南蛮毛)
薬効と用い方:

利尿薬として急性腎炎・妊娠時のむくみ:
1日量として南蛮毛8〜10gを煎じて内服する。南蛮毛を利尿薬に用いるようになるのは、江戸末期にオラ ンダ医学がはいってからのこと。欧米では古くから、コーンシルクの名で利尿薬に使われていた。
採取時期と調整法・成分:

採取時期と調整法:普通、トウモロコシの毛と呼んでいる、雌花の花柱を収穫時にむしりとって、日干しにする。
成分:利尿作用のある、無機質の硝酸カリウムを含む。