9月の薬草

お断り:掲載写真は専門家でないのでWEBの検索、あるいは手持ちの本で確認したもので完全を期したものではないことを
お断りします。もし間違っていたらご指摘下さい。

No 薬草名 薬効用い方 採取時期と調整法・成分
1 クスノキ(くすのき、楠)
薬効・用い方:
クスノキの材、枝、葉からとれる樟脳は、防腐剤のほかには医薬品として強心剤に用いられる。また、局所刺激作用、防腐作用があり、皮膚病の外用薬の軟膏、擦剤、チンキとして用いられる。
採集と調整 :
クスノキの材を乾留たものが、一般に知られる樟脳です。

打撲傷:
樟脳を粉末にして、黄伯末に2%の割合で混ぜて、卵白で練って痛む部分に厚く塗ります。 樟脳は内服すると胃を刺激して食欲減退、嘔吐などの副作用があるので、外用だけに用いる。

跌打酒(しつだしゅ)とは、当帰60g、紅花30g、蜀椒30g、肉桂60g、樟脳15g、細辛15g、乾姜30gを混ぜて、95%のアルコール2リットルに1週間浸漬したもの。これは打撲、捻挫、などの内出血や疼痛や、疥癬によるかゆみに外用として用いる。
2 ヤツデ(やつで)
薬効・用い方:
鎮咳、去痰などの風邪の症状の場合には、乾燥したヤツデの葉を1日量5〜10g、水0.5リットルで煎じて服用すると。また、乾燥した葉を適量を煎じた煎じ液で、うがいをすると。リューマチ・疼痛、腰痛などには、乾燥した葉を約50〜100gを布袋に入れて鍋で煮出してから、そのまま風呂に入れて浴湯料として入浴する。
採取時期と調整法・成分
葉を随時採取して日干しにして乾燥させる。少し乾燥したら適当に切り、さらに良く乾燥して保存する 葉が厚いので、乾燥には十分注意が必要。

成分:
ヤツデサポニンには溶血作用があるので服用量には注意が必要。
3 ニラ(にら)/韮白(きゅうはく)/韮子(きゅうし)
漢方薬では、にらの種子を韮子(きゅうし)と呼び、茎葉を採取して陰干ししたものを韮白(きゅうはく)と呼ぶ。ニラは古くからその効用が注目されており。強壮作用。整腸作用。体を温める作用など様々な薬効があります。
薬効・用い方:
薬効・用い方
滋養強壮、疲労回復、老化防止、生活習慣病予防

韮子は、強壮、強精、止瀉薬:
インポテンツ、遺精、頻尿、腰気、下痢などに砕いてから、1日量2〜8g、3回に分けて水で服用。 また、頻尿で尿の回数が異常に多い場合や腰痛などには、韮子を1回量30〜40粒をぬるま湯か水で直接飲むと効き目がある。
たむし、しらくもなどの皮膚疾患:
生の茎葉をすりつぶして患部に塗布。 新鮮な葉には、ニンニクに含まれるアリイン(アリインはにんにく中のアリイナーゼの反応によってアリシンとなる。このアリシンが臭いの元凶)などの硫黄化合物を含んでいるので、強壮、強精、下痢止めなどには、葉を味噌汁にしたり、味噌和え、ニラがゆ、ニラ雑炊などにして食べる。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
茎葉を採取して陰干ししたものを生薬で韮白という。葉は、韮菜、根と鱗茎は韮根、種子を日干しにして乾燥したものを韮子という。 葉、茎は生で調理しても同様の効果がある。ニラは、暑さ寒さに非常に強く、繁殖力が旺盛で、葉を刈り取っても、すぐに後から新しい葉が出てくるので年に数回収穫できますが、春の葉が一番柔らかく臭いも強く美味しく食べれる。

成分:
ニラはネギやニンニクにも含まれている硫化アリル(ツーンとする臭いの成分)が主成分です。 他に、サポニン、アルカロイド、ビタミンA,B,C,E,カリウム、鉄分も豊富に含む。 ニラの葉の部分にも同様の成分が含まれるが、ニラの種にはより多く含まれる。 昔から中国で「韮子」という名前で重用されてきた。
4 ヒエ(ひえ、稗)
薬効・用い方:
ヒエは穀物の中で最もアレルギーになりにくい食品で、アレルギー除去食品としても知られている。ミネラル含有量が多く、特にカルシウムやリンが豊富で骨粗しょう症の改善に効果がある。
採取時期と調整法・成分
草丈1m前後のイネ科植物
5月下旬〜9月中旬ごろ収穫。飼料用となるワラも副産する。
冷害、湿害、酸性土壌や塩害に強い。

成分:
タンパク質、脂肪、ビタミンB1などが多く、栄養価は米や麦に劣らない。ただ、そのまま食べると味がよくない。白米と比較して、食物繊維約8倍、マグネシウム約5倍、鉄分約2倍、カリウム約3倍含まれている。
5 センニンソウ(せんにんそう、和威霊仙、わいれいせん)
薬効・用い方:
民間では、扁桃炎炎に生の葉1〜2枚をよくもんで、手首の内側に軽く貼り付け、一昼夜くらいそのままにします。すると、手首の内側に軽い痛みを感じるようになり、やがて、扁桃炎の痛みもとれてくる。 生のセンニンソウを取り除くと、その部分が発疱して赤くなりますので、温水でかるく洗う。また、皮膚の弱い人の場合には、ガーゼに包んで塗布する。 神経痛、リューマチ、にも痛みのある患部に生の葉を塗布すると、発疱して、水疱が出来るので、その水を抜き、患部を包帯で保護するという民間療法があるが、真意については未解明。 センニンソウの別名には、ウシノハコボレがありますが、これは牛が牧草といっしょに食べると歯が抜けてしまうことからつけられたもので、有毒植物のひとつということです。 また、民間では茎葉をつぶして軟膏に配して、のう水を破るために用いられていたこともある。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
葉を夏から秋にかけて採取して、生のままで用いる。 根を乾燥したものを、生薬で和威霊仙という。

有毒部分:葉、茎
有毒成分:ポロトアネモニン(汁液が皮膚に触れると引赤、発疱(はっぽう)して水腫(すいしゅ)が生ずる。
中毒症状:胃腸炎症 毒性が強く、民間では絶対に飲用してはいけません
6 ヒナタイノコズチ(ひなたいのこずち、牛膝、ごしつ)
薬効・用い方:
利尿、浄血、月経不順、浮腫、リューマチ、脚気:
牛膝1日量5〜10gに0.4リットルの水を加えて、煎じながら約半量に煮詰めたものをこして、1日3回に分けて服用。 子宮収縮などの作用があり、妊婦は堕胎の恐れがあるので使用は避ける。 また、胃アトニー、胃下垂などの病気の場合も使用は避ける。
関節痛、腰痛、神経痛:
上記にに呉茱ユ(ごしゅゆ)約5gを加えて、煎じたものは効果がある。
外陰部の炎症:
乾燥した、全草100gに約1.5リットルの水を入れて煎じ、約3分の2になるまで、煮詰めたもので、1日数回炎症がなくなるまで洗う。虫刺されなどには、生の葉をよく洗いもんで、その汁を直接患部に塗布。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
ヒナタイノコズチを、秋から冬、地上部が枯れたころに根を掘り採り、水洗いして天日で乾燥させます。これを生薬で牛膝といいます。

成分:
イノコズチの根にはイノコステロン、エクジステロン、ルブロステロンなどの昆虫変態ホルモンが、含まれていることが知られるが、薬効との関係は明らかではない。 その他、アミノ酸、コハク酸、シュウ酸などのカリウム塩、サポニン、粘液質などを含有

イノコズチの名前の由来は中国で、茎の節のふくらみが、牛の膝頭に似ているとして牛膝という漢名があります。
7 アオキ(あおき)
薬効・用い方:
脚気、浮腫、膀胱カタルに利尿、火傷、しもやけに外用

採取した生の葉を金網に乗せて弱火であぶると葉は柔らかくなり黒色に変化する。こがさないように注意し、火傷、はれもの、凍傷などの患部にはり、包帯などで軽く押さえる。
胃腸薬として有名な「陀羅尼助(だらにすけ)」や「百草(ひゃくそう)」は、黄柏(おうばく)(ミカン科のキハダの樹皮でコルク質の部分をはいだ黄色の内皮)のエキスを固めたものですが 、このエキスにアオキを入れて煮詰めると真っ黒になり、しかも大変つやのあるものになります。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
生の葉を必要な時に採取してよく水洗いする。

成分:イリドイド (aucubin)
8 ヤマブキ(やまぶき、棣棠、ていとう)
薬効・用い方:
薬用部位:茎葉・花(棣棠花)。茎葉は夏に、花は春に採集して天日乾燥する。

薬効:咳、関節炎、むくみ。
慢性の乾燥したカラ咳、むくみには花を使う。 あまり熱のない関節の腫れや痛みには茎葉を使用する。日本では昔から切り傷の止血に乾燥した花をもんでつけた。
採取時期と調整法・成分
茎葉は1日5g、花は1日3gを400ccの 入れ、30分ほど煎じて3回に分けて服用。

成分:花は、ヘレニン、ルテインを含む。
9 ザクロ(石榴、せいきりゅう、ざくろ)
薬効・用い方:
ザクロの果皮には多量のタンニンが含まれていて、下痢、止血の目的で1日量3〜5gを煎じて3回に分けて食間に服用。
大量に服用すると、腹痛や嘔吐などの副作用があるので注意が必要です。
中国では、子宮頸がんの治療に果皮と種子を砕いて服用。 生の根皮と乾燥した石榴皮(せきりゅうひ・根皮)は、油状物質のイソペレチェリンなどを含有していて、条虫駆除の作用があり、石榴皮(せきりゅうひ・根皮)25g、水0.3リットルを半量まで煎じて服用。 この煎じ液は、胃の粘膜を刺激する作用があるので、胃炎などの症状がある場合には用いてはいけません。 果汁液は、水虫、たむしに患部に塗布する。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
ザクロは、秋に熟して裂けた果実を採取して、果皮をはいで広げて天日で乾燥させます。 また、8月ころに幹皮を、とくに9〜10月ころ根皮をはいで天日で乾燥したものを、生薬で石榴皮(せきりゅうひ・根皮)という。
栽培:ザクロの繁殖には、挿し木が一般的です。2月の初めころに、さし穂として、前年に伸びた枝を採取して、砂の中で貯蔵します。 3〜4月に、その枝を2〜3芽残して切って、川砂と鹿沼土か赤玉土を同量混ぜて挿し木をします。2ヶ月程度で発根するので、その後植え替えします。 他に、株分けによっても増やすことができます。
10 オシロイバナ(おしろいばな)
薬効・用い方:
誤食した場合、強い利尿作用、嘔吐、腹痛、強い下痢。子供の事故が多い。午後4時ごろから咲き出しいい香りをさせることから「Four O'clock」などの名前もある。 黒い種を割ったときにでてくる白い胚乳を、ぬらした指先につけてにきびや吹き出物の上につける。
採取時期と調整法・成分
園芸種が野生化したものと思われます。また、大変不思議な花で、同じ株から色が違う花をつけたり、一つの花の中で色が混ざっていたり変化に富んでいます。生物学では遺伝の研究に利用されています。

成分:
全草、特に種子、根に トリゴネリン、ステロイドのβーシトステロール
11 レモン(れもん)
薬効・用い方:
殺菌、抗毒素、解熱などの作用があり、風邪などの感染予防、動脈硬化予防、胃の感染症・循環器系の予防になる。
にきび・おできなどの皮膚の殺菌には、レモンの絞り汁を患部に塗布する。
喉の痛み、口内消毒には、レモンの絞り汁と同量のお湯で薄めて、うがい薬にする。
関節炎・痛風などの痛みには、レモンの絞り汁を飲むと痛みが和らぐ。
レモンの絞り汁や水で薄めたレモン液は飲むだけで、消化されると、アルカリとして作用して、酸が作用するリウマチ症状などによい。
揮発油は殺菌、抗菌作用がある。バイオフラボノイド類は静脈、毛細血管の内壁を丈夫にする レモンは、ビタミンCが不足すると発病するという壊血病の治療にも用いる。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
レモンの果実は非常に水分量が多く傷つきやすく、キュアリング処理をして保存する。 キュアリング処理とは貯蔵温度13〜16度、湿度75〜80%で保存して果皮中の水分を減少することにより、クロロフィル(葉緑素)が分解されて緑色から黄色にかわり輸送や保存ができる。

成分:
レモンには揮発油(果皮の約2.5%)リモネン(果皮の約70%以上)、クマリン、バイオフラボノイド、ビタミンA、B1、B2、B3、C(果実100グラム中40〜50ミリグラム)、粘液質などを含有。
12 ヨメナ(よめな)
薬効・用い方:
薬効の記載は見あたらない。

春に若芽を摘んでおひたしやゴマ和えなど食用も可能。秋に紫の花が咲く。
採取時期と調整法・成分
13 カヤツリグサ(かやつりぐさ)
薬効・用い方:
薬効の記載は見あたらない。

茎の両端から角度を違えて裂き、広げると四角形ができる。子どもがこれを作り、つった蚊帳に見立てて遊んだのが名の由来、とされる。  高さ20〜60センチ。茎の断面は三角形で、節がない。葉は幅3ミリほどで細長く、先はとがり、光沢がある。7月〜10月に、先のとがった小さな鱗片(りんぺん)が多数集まった黄褐色の穂をつける。本種には、鱗片の先にやや丸みのあるコゴメガヤツリをはじめ、ミズガヤツリ、タマガヤツリなど、似た仲間が多い。
採取時期と調整法・成分
14 ハナトラノオ(はなとらのお)
薬効・用い方:
薬効の記載は見あたらない。

洋名は「フィソステギア」、園芸分類は宿根草です。 花期は6?8月と咲く期間が結構長いです。
採取時期と調整法・成分
15 フヨウ、スイフヨウ(ふよう、すいふよう)
薬効・用い方:
薬効の記載は見あたらない。

フヨウは、アオイ科フヨウ属(Hibiscus)の落葉低木で、中国原産といわれ、古くから庭園などで栽培されてきました。夏の終わりから秋にかけて淡紅色の花をつけ、花は朝開いて夕方にはしばむ。
スイフヨウ(酔芙蓉)は八重咲きの品種で、花は咲いた時は白く、しだいに紅色に変わる様子が酒に酔ったようだというので「酔芙蓉」と呼ばれる。 開花時期は、スイフヨウのほうが遅く咲き始め、9月下旬ごろから見頃となる。
採取時期と調整法・成分
16 ヨウシュヤマゴボウ
薬効・用い方:
有毒植物
北米原産の帰化植物で,ヤマゴボウ科の多年草。紅紫色の茎は2mほどになり,初夏から秋にかけて総状花序を作り,紅紫色の果実を付ける。
牛では,流産,昏睡,痙攣,下痢,嘔吐などがみられるといわれる。
採取時期と調整法・成分
有毒成分:
トリテルペノイドサポニンであるフィトラカトキシン(phytolaccatoxin,アグリコンはフィトラカゲニン(phytolaccagenin))です。この物質は全草に含まれるが,根に多く果実には少ない。また,根には硝酸カリウムを多く含む。 根茎は,レクチンの一種ポークウィードマイトジェン(pokeweed mitogen (PWM))も含む。ポークウィードマイトジェンは,リンパ球幼若化活性,赤血球凝集活性を持つ。
17 センニチコウ(せんにちこう、千日紅)
別名センニチソウ(せんにちそう)
薬効・用い方:
薬効の記載は見あたらない。

夏から秋まで長い間(花期は7〜10月)、鮮やかな紅色が色あせず長持ちするところから、「百日紅(サルスベリ)」と比較してこの名前になったそうです。また、ドライフラワーにして保存しておいても、長期間花の色が落ちにくいので、千日紅との名前がついたとも言われています。具体的には、乾燥させて千日以上(3年以上)色あせないそうです。
採取時期と調整法・成分
18 スベリヒユ(すべりひゆ)
薬効・用い方:
利尿、膀胱炎、肝臓病、肺結核、百日せき、浄血:
茎葉を乾燥したもの1日量5〜10g、水0.4リットルを約半量まで煎じて、1日3回に分けて服用する。
毒虫などの虫刺され、かゆみや乳房腫痛、腫物:
生の葉を洗いつぶして、汁を塗布。
解毒、膀胱炎、排膿:
生の茎葉の汁をそのまま服用すると。
食用:
初夏から秋にかけて茎葉を採取して、熱湯でゆでて水にさらしてから、油いため、あえもの、汁の実などのして食べる。独特のぬめりがある。
採取時期と調整法・成分
採集と調整:茎葉の元気の良い夏場に全草を採取して、日干しにして乾燥させる。

成分:利尿効果のあるカリ塩を含む。
19 ムラサキシノブ(むらさきしのぶ)
薬効・用い方:
寄生性皮膚病には、生の葉を潰して、葉の汁を患部に塗布する。乾燥した枝・葉を、適量の水で煎じた液を患部に塗布する
採取時期と調整法・成分
採集と調整:
夏に小枝、葉を採取して洗い、天日で乾燥させる 緑葉は、染料に用い、材は、ノミの柄にする

有効成分:ジテルペノイド・カリカルポン、フラボノイド・ハイドロオキシテラオキシフラボンなどを含有する。
20 イヌタデ
薬効・用い方:
全草を、回虫駆除、下痢による腹痛、消腫に煎服し、皮膚病に粉末を塗布する。
採取時期と調整法・成分
採取時期と調整法:
開花期に
全草をとって干す。